赤い狼と黒い兎Ⅱ
「かーおーちゃん♪」
『うおっ、』
後ろから抱き付かれ、そのまま椅子から落ちるかと思った。
『琳…急に抱き付くなっていつも言ってんだろ?』
「今日は特別ー♪」
何が特別だよ。いつも音なく現れるクセに。
『舜はどうした?』
「いるよ」
…お前も気配無くして現れるな。まったくお前らは…、忍者か。
『はぁ…』
「疲れたー?」
『そりゃあね…。こんだけ接待すりゃ疲れる』
「でも馨、楽しそうだよ」
舜に言われて、あたしはグラスから口を放した。