赤い狼と黒い兎Ⅱ
「馨、唯兎呼んであげようか?」
ニヤニヤと笑う春架にイラついて、クッションを投げた。
「イッタッッ!」
「「「「ドンマイ春架」」」」
見事クッションは顔面に当たり、ボトリと床に空しく落ちた。
…はぁ。こっから本署まで結構距離あるからな…。
もうそろそろ行くか…。
「あれ、どっか行くの?」
「やっぱ唯兎の……、ごめんなさいごめんなさい」
まだ懲りない春架を思いっきり殺気を出して睨んだ。
どんだけ“唯兎唯兎”言うんだよ。
『あ、そうだ。亜稀羅』
「ん?」