赤い狼と黒い兎Ⅱ
ドアノブに手を掛けたまま顔だけを亜稀羅に向けた。
最近亜稀羅はmoonの倉庫に入り浸りだからね…。あたしが居るからとかなんとか…。
『今日、倉庫行けないって言っといて』
「……帰って来ないの?」
心配そうな表情をする亜稀羅に苦笑いした。
『帰っては来るよ。ただ、用事が長引くかもしれないから』
「ん、わかった」
『ありがとー』
ヒラヒラと手を振ってドアを閉めた。
黒いパーカーにジーンズ、男物のような黒に銀装飾のブーツ。
これだけでもう“黒狼”の雰囲気が漂ってる。