赤い狼と黒い兎Ⅱ
後ろにいた下っぱがそう言った。
『ああ…。お前がやったのか?』
「はい!勝手とは思いましたけど、やっぱ馨さんにいつでも使ってもらえるように」
ワックスが塗られてるのか、自分の顔がバイクに写った。
―――口角が、上がっていた。
自分でも無意識だったんだろう。それに驚いた。
「すいません余計な事して……」
『―――…いや、いいよ』
「え?」
バイクのハンドルを握って、ふっと笑った。
『相手してやれなかったからな。…お前に触ってもらってこいつも喜んでるよ』