Love Story's+α
このバットを作った職人の親父さんが
「このバットはわしが心を込めて一本一本作ったと言う自負がある。だけどね、どんないいバットも選手次第なんだよ。早い話しがわしの手から生まれたバットをよくも悪くもするのはあんたら選手なんだよ。ちゃんと手入れをして磨いてやって…そうするうちに段々と手に馴染んでくる。打てないからと言って八つ当たりみたいにバットを投げたり折ったりする奴がいるがあんなのは選手として最低だな。打てないのを道具のせいにして…そんな奴はまともに手入れもしない。そりゃバットも嫌がるて。自分の大切な物を大事に出来ん奴には選手たる資格なんてないとわしは思ってるよ。それに比べてあんたは大事にしてる。あんたは今までのバットをまるで昆虫採集の標本みたいに大事にしてくれとる。あんたはだからこんな長い間一流と言われる選手でいれたんだよ。これからも大事にしてやれ。そして…あんたならまたホームラン王になれる。わしの最後のこのバットであんたがホームランを打つのを楽しみにしとるよ」