Love Story's+α



この世に神も仏もいないのか。


俺は只、普通に平凡に生きていきたいだけなんだ。


なのに運命のボールが坂道を転がり出した。


誰か助けてくれ。


このマンホールに入り込んだら、何処か知らない世界へ行けないかなんて童話やSFみたいな事までマジに考えてしまう。


本当に逃げ出したい。


――





き、来た。


もう俺はおしまいだ。


「探しましたよ」


「いつまでも諦めが悪いですよ」


「お母様もお望みなんですから」


あの人が望もうが俺の知ったことか!


「お父様のご遺言なんですから。行きましょう、皆様がお待ちかねです。遅れて行くなんて失礼極まりない。これからに響きます」


親父の馬鹿野郎!


お前は好きなように生きろと言ったのは誰だよ!


これからに響くだって?


そんなこと知るか!


俺には関係ない。


とにかく俺は嫌なんだ。


だけど有無をいわさず引き摺られて行く。


「坊っちゃん、お帰りなさいませ」


「皆さんがお待ちかねです」


坊っちゃんなんて呼ぶな!


世襲なんて歌舞伎か政治家だけでいいだろ。


何でヤクザ家業まで


俺はこれから親父の仇討ちの為に落とし前をつけに行く。


だけど俺は嫌なんだ~


俺は平和主義者なんだよ~


ヤクザなんて嫌なんだよ~


大嫌いだ~


俺の人生を返せ~




*END*





【800文字で三題噺:神様 マンホール 政治家】


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