Love Story's+α
二日が過ぎて婆ちゃんが今日帰る。
「婆ちゃんが帰ったらまた朝御飯食べへんやろ」
「……」
当たってるだけに何にも言えへん。
「ほんまにしゃーない子やな。パンと牛乳だけでも食べなあきまへんえ」
「……」
「返事は」
「はい」
「分かったらええ。ほな帰るわ」
「駅まで送る」
「かまへん。仕事に遅刻するえ」
「大丈夫や」
急いでスーツに着替え
「ほな行こか」
婆ちゃんを駅まで送り別れ際に
「お前もスーツが少しは似合うようになったな」
「少しだけか?」
「未だ未だ早い。仕事に馴染むようにスーツも馴染んでくるんや」
笑いながら
「ほなな」
「元気でな」
「おおきに」
あれが最後やったな。
あんなに元気やったのに呆気なく亡くなったのはその秋やった。
あれから何年経ったんやろ。