Love Story's+α
「あ、蝸牛」
視線の先に紫陽花の葉を這う蝸牛が
「6月のイメージね」
「そうか?」
デリカシーはない。
「でもこの蝸牛日本生でよかったね」
「ん?」
「フランスにいたら食べられるよ」
「ば~か。同じ種目でも食用とは違う」
それくらい知ってます。
天才には冗談も通じないんだから。
だいたい
「ちょっと寄って」
家に否応なく連れ込む。
「ただいま。パパ送って貰ったお礼にエスカルゴご馳走したげて。最高級のポマティア手に入ったよね」
君より詳しいよ蝸牛は。
特に食用はね。
だって家は有名なフレンチレストランなんだから。
*END*
【800文字で三題噺:風待月·八曜日·ポマティア】