Love Story's+α
「染雪さん」
「沖田はん…大丈夫どすか?」
「えっ?」
ある夏の昼下がり
建任寺の片隅で
「沖田はんが…池田屋はんの騒動の後もまた血ぃ吐かはったって、山崎はんが…」
「お喋りだなぁ、山崎さんも…大丈夫ですよ」
「ほんまにほんまどっか?」
「ほんまにほんまどす」
「よかったぁ」
「また染雪さんは…泣き虫だなぁ」
「すんまへん。そやけど心配なんどす。…沖田はん、新撰組…抜けとおくれやす」
「またそれですか?」
「そやけど、沖田はんがあんまりにも自分のお体を大事にしやはらへんから。新撰組抜けて養生しとくれやす。お願いどす」
「困ったなぁ。染雪さん、私はね小さい時から近藤さんや土方さんとずっと一緒にやってきた。私はあの人達と離れることは出来ないんですよ。新撰組を離れたら、例え長生きしてもそれは死んだことと一緒だ」
「沖田はん…」
「貴女だってそうでしょう?小さい時から修行してやっと一人前の舞妓になったんでしょう?舞妓を辞められないでしょう?それと同じですよ」
「沖田はん…いけずどす」