Love Story's+α
この日は天智天皇様主催の蒲生野(がもうの)での薬草摘み
此処にくれば皇子様を陰ながらでも見れるとは思っていたけれど…
ふふふ…
相変わらず皇子様は無鉄砲であらせられる。
そんな皇子様が愛おしくて…
「母様」
「十市」
「どうかされましたか?お顔の色がすぐれませんよ」
「大丈夫ですよ。それよりたくさん摘めましたか?」
「はい。母様、見て下さいませ」
十市が差し出した籠には
「まぁ、紫草ですね」
「はい。これだけあれば染められるでしょう?」
「そうですね」
「母様、先程父様にお目にかかりました」
「えっ?」
皇子様に…
「はい。母様を大切にするようにと」
「…十市」
思わず十市を抱きしめて
「母様、どうされました?苦しいのですか?」
「…いいえ。貴女があまりに優しいから母様は嬉しいのですよ」
「母様…」
「額田様、皇女様、そろそろお時間でございます」
「そうね、行きましょう」
十市の手を引いて館へ―