Love Story's+α
俺には可愛い恋人がいる。
が、
この彼女がちょっと、いや、かなり普通ではない。
「ねぇ」
何だ今度は?
「ナメクジってさ」
ナメクジ?
「どっから来るの?時速はどれくらい?」
はぁ?
ナメクジの時速?
そんなん知るか。
「何でそんなこと」
「お風呂場の蓋にくっついてたんだよね。昨日はいなかったしさ。だいたい家のお風呂って窓に網戸してあるし…どっからいつ来たんだろうね」
「排水口からじゃないのか」
いい加減に答える。
「排水口?登って来るの?何日掛かって?水が何リットルと流されるのに壁面にへばり着いて落ちないの?凄いね」
感心してるし。
て、ナメクジが壁面登って来るとは思わないんだけど。
「で、ナメクジどうしたんだよ?」
「うん。石鹸箱の蓋に掬って庭に出した」
石鹸箱に掬ってって
「ナメクジ触ったのか?」
「まさか。お風呂場に掃除用の歯ブラシあったからそれでやった。そんな偉いナメクジなんだから塩撒いて殺さなくてよかったわ」
「……」
ナメクジって害虫だろ。