Love Story's+α




寒い!

地球温暖化と言われているがこの寒さはどうなってんだろ?

外に出るのが辛い。

いや、本当なら出ないのが一番だ。

だが仕事がある。

ガタン!

ケーブルカーが到着し、たくさんのお客が降りてくる。

みんな雪だるま並の重装備。

ここは山にある寺。

近年パワースポットとして参拝客が増えた。

でもパワースポットでもこんな真冬に来るなんて本当に物好きだ。

さて今日もケーブルカーから吐き出されるお客をおもてなし。

もう慣れたもんだ。

今ではこの山寺のちょっとしたアイドルで俺目当てにやってくるお客もいるらしい。

「わ~可愛いマフラー」

俺がしている赤いマフラーを見て女の子達が褒めてくれる。

ふふん、分かってるじゃねえか。

これは山の食堂で働く華ちゃんが俺の為に編んでくれたんだぜ。

なんと華ちゃんとお揃い!

愛されてるね~俺。

さて、案内を済ませて次が来るまで暫し一服。

今のうちに昼飯にするか。

「お帰り。寒かったでしょ。早くストーブの前に」

華ちゃんがマフラーを外してくれる。

華ちゃんは本当に優しい。

俺の太陽だ。

彼女がいれば寒さも吹っ飛ぶ。

「お昼よ」

待ってました!

もう腹ペコペコ。

うんうん、カツオ出汁がよく効いていて美味いよ。

「今日もお客さんが多いからたくさん出汁を取ったから出汁がら一杯出たの よ。だから今日のご飯は豪華でしょう」

うん、このカツオとご飯が絶妙なバラ ンス。

やっぱり猫にはねこまんまが一番のご馳走だよ。

「ミャ~」

「綺麗に食べたわね。さ、タマ昼からも頑張ってね」

「ミャ~」

任せとっけって。

俺はこの山寺の食堂の招き猫なんだぜ。

俺がいる限りこの食堂も繁盛するし山寺にも参拝客が押し掛ける。

さ、もう行くか。

俺に会いにまた大勢やってくる。

華ちゃんにマフラーを巻いてもらって店を出て

「気をつけてね」

はいよ!

華ちゃんの為に俺は頑張る。

あ~アイドルはつらいぜ。




*Fin*





【800文字で三題噺:ケーブル・マフラー・カツオ出汁】




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