Love Story's+α



フフフ…

思い出すなぁ。

子どもの頃、危ないからこの吊り橋に近寄っちゃいけないと言われていたけど私 達はそんな注意も何処吹く風でしょっちゅう度胸試しだって此所に来て誰が一人 で一番早く渡れるかなんて。

そんなある日

都会からの転校生が私達と一緒に着いてきて

みんなが先に渡って。

最後に残ったのは私とその子。

「大丈夫だよ。私が一緒に渡ってあげるから」

「えっ?」

その子は驚いたように私を見た。

そうだよね。

その子は一言も『怖い』なんて言ってないしそんな素振りも見せなかった。

でも私には分かったんだ。

その子が本当は怖がっていることが。

だけどその子は

「怖くなんてないさ」

なんて強がって見せて。

「うん。でももうお日様も沈みかけてるし暗くなってきたから、私がちょっと怖 いの。風も出てきたしね。だから一緒に渡ってくれたら嬉しいな」

子ども心にもその子のプライドを傷つけちゃいけないと思ったみたいでよく考え たら変な言い方だったんだけど

「じゃあ仕方ないな。一緒に渡ってやるよ」

って。




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