Love Story's+α



「わ、わぁっ!!」

一瞬風が強く吹き吊り橋が大きく揺れて

「大丈夫だよ」

怖がってるのが分かったから思わず抱きしめた。

「このままじっとしていて。直ぐに収まるから」

「……」

何も言わず暫くそのまま

その子の緊張が伝わる。

――



漸く風が収まり離れて

「じゃあ行こうか?」

「あ、うん」

また手を繋いで渡り終えた。

「ありがとう」

私が言うと

「えっ?」

その子は不思議そうな顔で

「何が?」

って。

「一緒に渡ってくれて」

「う、うん」

照れたように顔を背け私の家まで送ってくれた。

「じゃあまた明日ね」

「うん」

「バイバイ」

「バイバイ」

玄関を入ろうとしたら

「ありがとう。一緒に渡ってくれて」

えっ?

振り返ると…もう走って行っちゃった。

フフフ…

『ありがとう。一緒に渡ってくれて』

何度もその言葉を思い出し心にポッと明 かりが灯ったような温かい気分。




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