Love Story's+α



「俺は『G'power』のヒロだけど…その前にたった一人の浅葉浩って男です。そ りゃファンのみんなにしたら俺に恋人がいるのは裏切りというか嫌なのかもしれ ない。でも俺はステージを降りたら只の …みんなと変わらない普通の男です。俺 に彼女がいては駄目ですか?本当ならこんな風に彼女がいるなんて言わない方が いいのかも知れない。みんなも薄々は感づいていても知らん顔してる方がいいっ て言うかも知れない。だけど俺は…不器用だから嘘はつけない」

観客はただ静かにヒロの朴突とした語りに耳を傾ける。

「彼女は高校からの付き合いで今までずっと俺を『G'power』を陰から支えてく れていた人で…決してでしゃばらず人前にも出なくてあくまで縁の下の力持ちで 、そして何より『G'power』を…俺を一番に考えてくれて。俺は…みんなもそん な彼女に甘えてばかりで。俺達がメジャーデビュー出来たことをこの野音でライ ヴが出来たことを何より喜んでくれていて…俺はそんな彼女が愛しくてずっと傍 にいてほしくて…その彼女の為に…何一つ我が儘も何にも言わない彼女に俺のあ りったけの気持ちを込めて贈った曲です」

静かな会場にヒロの声だけが響いている。

「たった一人の…女(ヒト)を幸せに出来ないで…みんなに俺の『G'power』の歌 がみんなを幸せになんて出来ない。伝わらないと俺は思います。確かにこれは俺 の思い上がりだと言われるかも知れない。こんな話なんか聞きたくないと思われ るかも知れないけど…でも黙っていることは出来なかった。俺は俺自身にも彼女 にもみんなにも嘘だけはつきたくない」

シーンとしていた会場から

『ヒロ~素敵よ』

『彼女喜んでるわよ~』

等の声援と共に温かい拍手が。



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