Love Story's+α
「乃亜君」
私の肩に手が
「社長」
社長にしたら今のヒロの発言はとんでもないことだろう。
私達のことは認めてくれてはいるけどファンに公表はやはり許せないと思う。
「社長…すみません」
「はい、ハンカチ。涙が流れて折角の美人が台無しだよ」
社長からハンカチを渡されて慌てて涙を拭く。
「うん。美人に戻った」
社長はニコニコ笑っている。
「ヒロが乃亜君にサプライズをしたいからって」
「えっ?」
「ヒロに相談されたんだ」
「……」
「乃亜君以外はみんな知っているよ」
「社長」
「これが『G'power』メジャーデビュー 一周年のヒロから君へのプレゼントだ」
「ヒロ…」
「こらこら。泣いちゃ駄目だろ。確かにヒロがこんなとこで宣言して離れていく ファンがいるかも知れない」
「社長」
「だけどヒロは『G'power』はアイドルじゃないんだ。本物のアーティストなん だから大丈夫だよ。彼等の音楽を本当に 愛してくれているファンは離れてなんか 行かないよ。今の『たった一つのLOVE SONG』にしてもそうだ。あんなに優しい 曲を作ることが出来るようにヒロには幅が出てきた。初めて彼等の音を歌詞を聴 いた時は力任せで独りよがりだった。で も今は全く違う。力でみんなを捩じ伏せ るのではなくみんなに寄り添っている。 彼等はヒロは確実に成長してるよ。これ は君のお陰でもあるんだよ」
「社長」
もう涙が止まらない。
いつの間にか私の周りをスタッフが囲ん でニコニコ笑っている。
「乃亜さん 泣いている暇はありませんよ」
「そうですよ。まだライヴは続いてるんですからね」
「うんうん」
私は頷き再びステージに目を。
と、他のメンバーが私を見て笑ってる。
私も何とか笑顔を向ける。