Love Story's+α



小春日和の縁側で渋めのお茶を飲みながら。


あの日は本当に寒かったですね~霜が降りていて手が悴みましたよ。その手を大きな手が温めてくれましたね。


今となっては懐かしい思い出ですよ。


貴方は私が泣くと


「バカだな。本当に泣き虫のお姫様だ」

っていつも抱き寄せてくれましたね。


私はそれが嬉しくて嘘泣きしてたんですよ。


貴方は気づいていましたよね。


本当にあれから何年になるんでしょうね。


貴方のお嫁さんになって子ども達を授かって、その子達も巣だって行ってまた私達二人になりました。


今では静かな暮らしですね。


ねぇ貴方、私は貴方に出逢えて幸せでしたよ。


特別なことなど何もない平凡な暮らしですけど優しくて大きな愛で私達を包んでくれましたね。


ねぇ、私は貴方のいい奥さんだったかしら?


えっ?何ですって?


「バカだな」


フフフ…貴方の口癖ですね。


私ね貴方に


「バカバカ」


言われるから本当にバカになったような気がしますよ。


えっ?


「本当にお前はおバカさんなんだから」

ですって?


もう!じゃあそんなおバカさんを好きになった貴方もおバカさんですよ。


えっ?


「似た者同士だな」

ですって?


フフフ…そうですね。


私達は破れ鍋に綴じ蓋ですね。


いいコンビですよ。

お茶がぬるくなりましたね。


入れ換えましょうね。


だけど貴方は渋いお茶が好きですね。


えっ?


「饅頭が甘いからちょうどいい」


そうですね。


このお饅頭も美味しいですね。


本当に暖かですね。

あら、何処へ行くんですか?


私も連れて行って下さいよ、ね。



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