Love Story's+α


気がついたら、目の前におっちゃんがいた。


「わしが見えるか?」


私が頷くと


「そうか」


何や、このおっちゃん?私が怪訝な顔したんを見て


「わし、神さんや」


神さんって?このおっちゃん、ちょっとおかしい?


「こら、失礼やな」


私の考えてる事が解ったんか怒った。


「そやけど神様って」


「わしが見えとるんやろ?」


頷く。


「お前もう死んでるん解ってるか?」


私が死んでる?


「何で…私生きてる」


「わしの姿が見えるのは死人だけや」


「えっぇぇ―」


「煩い奴やな。上見てみ」


上って…綺麗な空が見えた。


「さっき堕ちてきたんや」


堕ちてきたって何処からって


此処何処や?


「マンホールの中」


あっ!急いでて下見んと走ってて…気がついたら堕ちた。あれマンホールやったんか。


「蓋が開いてて堕ちたんや。ほんで死んだ」


「阿呆やん、私」


「解ったか?」


「おっちゃんが神様やったらそうなんやろ。なぁ」


「何や?」


「神様が迎えに来たんやったら天国に行けるんやな」


「まぁな。天国でお前の父ちゃん待ってるで」


父さん…天国にいるんか。


「あかん」


「何がや」


「鈍臭い奴て説教される。これから永遠に」


天国に行ったら終る事ないやん。


「地獄のほうがええかな」


「阿呆。地獄に行く程まだ悪さしてへん。天国で我慢し」


「そやな、天国よい所一度はお出でやな」


「古い歌やな」


「父さんが歌ってた。なぁ何で関西弁なん」


「お前に合わせてるだけや。ほな行くで」


「うん」


サヨナラ私。



明くる日の朝刊に『最年少美人政治家事故死』の記事が。


これでええんや。


今日一日生きてたら私は汚職に手を染めて地獄行きやった。

これ、もしかしたら父さんからのプレゼントかな、天国行きは…




*END*




【800文字で三題噺:神様·マンホール· 政治家】




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