つめたいハートに火をつけて
【第一章】 懐かしい再会
あれから一年。
私~小西 絢子(こにし あやこ)~は転職して、新しい会社で頑張ってる。
前の会社で仲良かった友人達は『そんなバカなヤツの為にやめる必要はない』と引き止めてくれたけど。
いつここに戻ってくるか分からない彼と、顔を合わせたくは無かったから。
正直、自分がそんな事をするタイプとは思ってなかった。
でも、心機一転したかった。
そして、あれから恋愛することには、やっぱり臆病でいる。
◆◇◆ ◆◇◆
今日も無事に仕事が終わり、ロッカールームで帰り支度をしている時だった。
カバンに入れた携帯がメールの受信を伝えている。
携帯を開き、送信者の名前を確認すると、カナの名前が表示されていた。
カナ~永野 佳菜美(ナガノ カナミ)~は前の会社で、一番仲が良かった友人で、私が転職する時、何も言わず応援してくれた。
そして転職してからも、何かにつけて色々と誘ってくれる。
そんな彼女からのメールを嬉しく思いながら、メールの内容に目を通す。
『アヤ、お疲れ~。って、仕事終わってる?
この間、ちょっと良さげなBARを見つけたんだけど、一人じゃ入りにくいんだよね~。
今日は金曜だし、仕事が終わってて、予定もないなら一緒に行かない?
んじゃ、よろしくね~。』
案の定、彼女からは飲みのお誘いだった。
いつもこんな感じで、メールをくれるけど、そのお誘いはいつも突発的で、残業でメール返すのが遅くなったら、ずっと待ってるのかな?って、少し考えてしまう。
ま、今日も残業はないし、予定がいっさい無いから、断る理由はない。
『お疲れ様。
今、ちょうど帰るトコだよ。
今日も予定はないから大丈夫。
それじゃ、いつもの場所で待ってるね。』
そうメールを返したが、彼女の方が先に到着するだろうなぁと思いつつ、携帯をカバンにしまってから、軽く化粧を直す。
それからロッカールームにいる人達に「お疲れ様です」と声をかけながら、足早に待ち合わせ場所へと向かった。