狼さんとの付き合い方
その発想を、俺は頭から振り払う。


〝今つけ込んだら、お前の勝ち〟


頭の中でそう叫ぶ自分がいる。

キスすんなら今だ、て思ってる自分がいる。


得意のアレでやっちゃいなよ、って


頭でガンガン鳴り響いてる。

やばい、俺―…


「…海牙、何で泣いてるの!?」


「え、」


「もう、何でそんなに優しいの!?
私のためなんかに泣かなくていいよ!
ほら、海牙ってこういう時慰める立場でしょ、ねっ?」




…なんでこの状況で俺に冗談を言える?

どうして笑おうとしてくれるの?




…俺は、茜の手を握って、自分に引き寄せた。




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