図書室で・・・
「えー。ここ、訳できるやつー。前に書いて~?」
森先生の独特の口調が教室中に響き渡る。
一応担任の先生だからきちんと授業を受けている生徒がおおい。
「じゃあ・・・・。」
みんなの顔を見回して・・・・・
「じゃあー、工実。GO。」
黒縁の眼鏡をすらっとした長い指で上にあげる。
男子も女子にも関係なく下の名前で生徒を呼ぶ。
こんなところが私が先生に惚れた部分でもある。
他の先生とちょっと違う所だし・・・・
「おーい。工実?」
「えっ。ああ。」
席を立ち、ホワイトボードに答えを書いていく。
「ありがとう。」
ありがとうって言われた。
こんなことでも嬉しかった。