ここから君に。
広斗side
「ん?裕子ちゃんと杏里ちゃんのことだろ?」
「え?私達?」
杏里ちゃんは「私はないよー。」っと、顔の前で手を振っている。
そんな姿も小動物みたいで可愛い。
この子は自分がモテることを知らないのだろうか?
現に今も杏里ちゃんを見ている男子がいる。
もちろん裕子ちゃんのことも。
杏里ちゃんは可愛い系、裕子ちゃんは綺麗系ってとこか。
裕子ちゃんも入学式から杏里ちゃん同様人気があった。
でも、すぐに彼氏がいることが分かり、告る奴はいなくなった。
まぁ、裕子ちゃんの隣に並ぶ自信がないってのも、あるんだろうけど。
「この子、自分が注目されてるの分かってないのよ。」
俺にだけ聞こえる声で裕子ちゃんが言ってきた。
やっぱりか。
でも、そんなところも気取ってなくていいんだろうな。
普通なら同性から僻まれてもしかたないのに、
女からも可愛がられてる。
本当にいい子なんだな、杏里ちゃんは。
まっ、俺は彼氏がいても裕子ちゃんの方が好みだけどな。
チラっとハルの方を見たら
ジーっと杏里ちゃんを見ていた。
こいつ……