ここから君に。
キーンコーンカーンコーン…
結局私が学校の校門に着いたのは、1限目のチャイムが鳴った頃。
「あっ、あーんりー。杏里ってばー、こっちこっち。」
教室の窓から大声で校門の所にいる私を呼ぶ裕子。
裕子は高校からできた友達で、一年の時に席が隣で話すようになった。
小林裕子と瀬戸杏里。名前順で座るからたまたま隣になった彼女。
すごい美人さんで、腰まである栗色の縦巻きパーマがよく似合う女の子。
休み時間はいつも一緒にいる。今じゃ大親友だ。
私は裕子に手を振り急いで三階にある教室をめざした。
「裕子おはよー。」
「おはよじゃないわよ。新学期から遅刻してどーすんのよ。
はい、これ、必要でしょ?」
「助かる。いつもありがとー。」
裕子から1限目の授業のノートを借りた。これがなきゃ期末テストは死んでしまくう。
「また今日もあそこにいたの?」
「うん。今日は1限目から出る予定だったんだけどね、寝坊しちゃって…」
裕子は私がどこにいたのか知ってる。
そこに行っている理由も。
一年の時に話したから。この事は裕子しか知らない。
だからいつも私が出席しなかった授業のノートを何も言わず貸してくれる。
優しい子なの。
「そう言えばさ、私と杏里の席また隣よ。」
「うっそー。やったね。じゃあ、ここ私の席だ。ヨッコイショっと。」
「オバサンくさいよ。」
ひどい。たまに裕子は毒吐くんだよね。
まぁ、もー慣れっこだけどさ。