流し目小町
しかしまあここまでくると慣れっこで

歌舞伎の世界で生きる子どもとしては

ジレンマはあるものの、

まあ大概の事は驚かなくなった。

しかし大叔父にあたる禄右衛門と

父から聞いた、御川家のある「伝統」については

ウソだろ?という言葉しか出てこなかった。

それは今からちょうど1年前の

中1の3月だった。


オレの名前は御川真一郎。

これからきいてもらう物語は

他人からすればただの喜劇だが

自分にとっては大切な時間になった

1年間の物語だ。
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