あいたっ
「いててて…」
「いきなり体を動かすのはよくないよ」
鉄棒に取り組み、ダルマをやってみたところ、案外体が鈍ってたらしく、体が痛くなってしまった。
今は公園のベンチに座っている。
「そろそろだから行こ」
母がベンチから立ち上がると、近くで桜の木を見ていた祖母が近づいてきた。
「もういくの?」
「うん」
この公園の隣には、障害者の施設がある。
そこに兄はお世話になっている。
入口では、送迎用の車が三台ほどあり、施設に通っている人が乗り込んでいる。
兄も、母が迎えに来れない日などはこの送迎バスを利用している。
「あっ」
しばらく入口の前で待っていると、職員の人に連れられて兄がやってきた。
しかし、兄はすぐに送迎バスの方へ向かってしまった。こっちで帰るのと勘違いしているのだろう。
「将くん違うよー」
職員の人が誘導してくれたおかげで、自分達の車へ連れて来れた。