聖石戦隊 キラレンジャー
会場に着く。
聴衆は春風が一番乗りのようだったが、偶然にも、山本教授が様子を見に来ていたのに出くわした。

ああ、なんて理知的で素敵なのかしら。聞いてみたいことがたくさんある。

しばらくうずうずしていたが、我慢できなくなった春風は教授の元へ赴いた。

「あの、山本教授・・・。先月の学会で発表なさった論文についてお伺いしたいことが」

「ほう、ずいぶん若いのに感心だね。聞かせてごらん」

その時急に真っ暗になった。

大学側の人々は慌てふためいていたが、春風は息を呑んだ教授をかばって、ぐっと身構える。

停電? いや、あんなに晴れていた空の明かりも届かない。

こんな不思議は悪魔の仕業としか思えない。

案の定、すぐに声が響いた。

「ははは、恐怖に怯えているか、キライエロー? お前が想像している通りここは闇で包んでやった」

「卑怯者! 姿を見せなさい!」

「せっかく捕まえたのに、そうはいかないね。我らの望みは分かっているだろう。パワーストーンだ。
他の仲間をこの中へ集めれば、その関係ない人間どもは解放してやってもいいぞ」

「そんな・・・みんなを進んで危険な目に遭わせるわけにはいかないわ」

「ならばその人間どもと一緒に死ぬか。ここには邪気が充満している、長くはいられないだろう。
お前の好きにすればいいさキライエロー」

「聖石、チェンジオン!」

春風は会場にいた人々を全員一か所にまとめた。

その頭上にキラアームを掲げてバリアを張る。

「ここなら大丈夫。私がきっと出口を探してきます」

頷いて立ち上がると、速やかに走り出した。



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