雨女☆晴れ男

「なんでもないから。なんでもない…」

「なんでもなくないだろっ!雫ちゃん、さっき何を言われたの?」

「大丈夫だから。さっきのとは関係ないから。ただ、目にゴミが…!!」

無理やり隠していた手を引き剥がされた。
きっと真っ赤な顔して涙でぐちゃぐちゃな自分が露わになっただろう。

「どうやったら手で隠してる顔にゴミなんか入るんだ?」

晴太くんはそう言ってハンカチで涙を拭いてくれた。
でも、あたしの涙は溢れて止まらない。

ぽつ…ポツポツ…ポツポツ…ザーーーーーーーーーー…

雨が降り出す音がした。
…やっぱりあたしは雨女。泣けば雨が降る。
どうして…どうしてあたしは雨女なの…?
考えれば考えるほどに惨めになる。
惨めになればなるほど涙が止まらない。

そんなあたしに優しくしてくれる晴太くん。
でも今はその優しさが胸に刺さる。痛い…

「…しくしないで」

「雫ちゃん…?」

「…優しくしないで!」

晴太くんを思いきり突き飛ばした。

Σドスッ

尻もちをついた。

「…痛っ」

「あっ…」

「雫ちゃん、どうしたの?」

今の出来事をなかったかのように話しかけてくる。
その優しさが…その優しさが…

「もうあたしに優しくしないでっ‼」

いままでに出したことのない大きな声で叫んだ。

「雫ち「晴太くんの優しさが…その優しさが…胸に刺さるの!これ以上優しくされたら…あたし…ひっく…ひく…」

その場に、崩れるように座った。
さっきより大粒の涙が頬を伝う。

「ひっく…これ以上…あたしを…引っ掻き、回さない…でよ…ひく…優しく…優しく…!!」

Σぎゅぅ「ムリ」

「だっだから…「やだ。なんで優しくしちゃダメなの?」

離れようとしても、上手く力が入らなくて、離れられない。

「ねぇ…なんで?」

なんでって…
晴太くんはまっすぐな瞳であたしを見つめる。

「雫ちゃん?」

「だって…それ以上優しくされたら…」

それ以上優しくされたら…あたしは…