黒縁メガネ男子に恋してる

体育祭は、6月の初めにあるんだっけ。


で、全員、どれか一つには出なくちゃならないのよね。


「えーっと。
あたしは、走るのが苦手なので、走らなくていいやつがいいんだけど……」


あたしが、口の中でぼそぼそとそう答えると、教室が一瞬、妙な空気に包まれた。


あれ?


あたし、なんか、間違えた?


じわっと、イヤな冷や汗がにじみ出てくる。


でも彼女は、一瞬の沈黙の後、「じゃぁ」と黒板を振り返り、「玉入れはどうですか?」と聞いてきた。


あ、やっぱり、そういうことよね?


競技を決めてたのよね?


ほっとして、彼女にうなずき返す。

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