黒縁メガネ男子に恋してる
「ちょっと綾華、聞いてる?」
菜々美の声で、我に返る。
「えっ、あ、ごめん。なんだっけ?」
笑顔を作って、菜々美に視線を移す。
「もぅー、やっぱり綾華、あやしー!」
「いや、ちょっと、寝不足なだけだから」
そうごまかすと、菜々美は「そうなんだ?」と、おしゃべりを再開した。
智哉に話しかけるのは、今はムリそうだね。
あとで、休み時間にでも、昨日のカラオケのこと、詳しく聞こう。
あたしは、もう智哉の方を見るのはやめて、菜々美の話に集中することにした。