黒縁メガネ男子に恋してる
すると、遼子さんの後ろから、やせたおばあさんが姿を現した。
「徳井さん、ごめんね。
あたし、どうしても黙ってられなくて」
「矢崎さん……」
徳井さんのお友達の、矢崎さんだ。
キツネ顔の矢崎さんは、すっかりしょげて、恐縮した様子。
徳井さんは、やや困ったような表情で、矢崎さんを見ている。
そのふたりの間に、遼子さんが入った。
「徳井さんですね。
こちらの矢崎さんが、心配して警察にご相談に来られたんです。
事情はお聞きしました。
いろいろ思うところもおありでしょうが、警察でお話をうかがわせていただけますか?」
すると、徳井さんは覚悟を決めたように、まっすぐ遼子さんを見て、深々と頭を下げた。
「はい。ご面倒をおかけいたします」