黒縁メガネ男子に恋してる

遼子さんは、そっと徳井さんの背に手を添え、警察車両と思われる車を指し示した。


その車の後部座席に、雄太が、大柄な刑事さんに腕をつかまれ、押し込まれている。


「いてぇよ! 離せよ!
俺は使いを頼まれただけだって言ってんじゃん!」


そんな抵抗もむなしく、雄太は座席に放り込まれ、バタンとドアが閉じられた。


そのとき、遼子さんがこちらを振り返った。


「智哉」


静かだけど、鋭い声。


あたしが呼ばれたわけじゃないのに、ビクンと背筋が伸びる。


「なんだよ?」


智哉も緊張した面持ちで返事する。


「帰ったら、説教よ。
わかってんでしょうね?」

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