黒縁メガネ男子に恋してる
「彼氏?」
「え?」
智哉は数歩先で、無表情にこちらを見ている。
「あ、いや、今のクラスメート」
他に言いようがなくてそう答えると、男はあからさまに嬉しそうにニヤけた。
「なーんだ、ただのクラスメートか。
綾華、今、帰るとこ?
暇なら、メシでもどう?」
下心見え見え。
だけど今は、たとえ相手がコイツじゃなくても、そんな気分じゃない。
「悪いけど、今日はちょっと……」
そう断ると、ちょっと残念そうな顔を見せた男は、それでもすぐに立ち直って、
「じゃ、今度みんなで集まろうーぜ。
俺、みんなに連絡して、綾華も誘うから」
なんて、食い下がってきた。