黒縁メガネ男子に恋してる
心の中で突っ込みながら、足を速めて、智哉の左に並ぶ。
そっと智哉の顔を見あげて表情をうかがうと、やっぱりムッとしてる。
うーん、どうしよう。
なにか話を振ってみようか。
「ねぇ、雄太ってさ、少年院とか入れられちゃうのかな?」
さっき考えてたことを、そのまま言ってみたんだけど。
「…………」
智哉は返事をしてくれずに、スタスタ駐輪場に入っていく。
ここの駐輪場は、駅ビルに買い物にくる人たちが主な利用者だから、この時間になると、もうあまり出入りする人はいない。
ひと気のない駐輪場は、しんと静まりかえっていた。