キミの知らない物語。【完】
3
* * *
「――ん……」
ゆっくりと目を開ける。
真っ暗な世界。何も見えない。
……どこだっけ、ここ?
重たい頭を左手で支えながら、きょろきょろとあたりを見回す。
ようやく目が暗闇に慣れて来て、――今は使われていない古びた体育館の倉庫。
……ああ、そうか。あたし、寝ちゃってたのか。そうだ。泣き疲れて……。
ザー
ザー
ザー
雨でも降っているのだろうか?
倉庫の外からは激しい雨の叩きつけるような音がする。えー、昼間はあんなに晴れてたのに? ついてない。
……ていうか、どれくらい時間がたったんだろう。今何時?
制服のスカートに入れていたスマホを取り出し電源をつけ、時間を確認する。