キミの知らない物語。【完】
「うわ、どうしよう。……はやく帰んないと……っ」
立ちあがり、倉庫の重い扉を押す。
「――あれ?」
――も、ガチャガチャッと音がするだけでドアノブは回らない。
――なんで?
パニックに陥り、扉を押したり引いたり蹴ったり叩いたりしてみたけれど、――開かない。
「……うわお」
どうやら外側から、鍵を掛けられてしまったらしい。
入るときは鍵がかかってなかったのに、何故閉める。せめて中に誰かいないのか、確認してよ! 最悪だ。
……ありえない。
力が抜け、へなへなとその場に座り込む。と同時に、グーっとお腹の音が盛大に鳴り響いた。
「――っ」
――なんで、こうなんのかな。
……ありえない。ほんと。
とりあえず、お母さんに連絡して……。
「――あ」
携帯を開いた瞬間、電源が切れた。