キミの知らない物語。【完】




――陽ちゃんも、佐野くんが好きなんだ。


だって、菜乃子は陽ちゃんの一番の友達でしょう? わからないわけがないでしょう?


だから、二人は両思い。


菜乃子が邪魔者なんだよ。


佐野くんと付き合う前から、ほんとはわかってたよ。


――佐野くん、キミには教えてあげないけどね。


キミは、自分でも自分の本当の気持ちに気付いてないんだ。


だって、菜乃子って存在がいたから。



「……どういう意味だよ」



言う佐野くん。


好きだよ、佐野くん。


菜乃子はズルイから、そんな二人のキモチ、無視して今まで付き合ってきたけど。


……さすがに疲れちゃった。


陽ちゃんがいなくなったって聞いて、佐野くん、焦ってた。


陽ちゃんが帰っていく後ろ姿を見つめる目は、切なそうだった。


――菜乃子の負けだ。


どうやったって、陽ちゃんには敵わない。



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