キミの知らない物語。【完】
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――月曜日。
陽ちゃんと佐野くんは、珍しく二人で登校してきた。
菜乃子と別れた後、何かがあったのだろうか? それとも、何もなかったのかな。
彼女は菜乃子と目が合うと、気まずそうに引きつった笑みを浮かべ、固まった。
「――あは」
なんだかおかしくて、笑いを零して陽ちゃんに手を振る。
すると彼女は安心したように笑い、手を振り返してくれた。
二人は上手く行ったのだろうか。
それとも何も変わっていないかも。
――さあ、聞かせて貰おうじゃないですか。
あの後の、菜乃子の知らない物語を。
「陽ちゃん、おはよう」
「……おはよ、……菜乃子」
声をかけた菜乃子に、ぎこちなく笑う陽ちゃん。
――大好きな二人だから。
陽ちゃんのことも佐野くんのことも大好きだから。
二人が幸せだと、一番いいな。