雨色

入学

私立桜鈴(ｵｳﾘﾝ)学園。

あたし、佐々木洋子がこの学校を第一志望として受けた頃のことは、よく覚えている。

そもそも母親が受けさせたこの学校には行きたくなかったから、試験は適当に解いた筈だった。

それが、こんな事になるなんて…。


あたしは思った通り、試験に落ちた。
ただし、補欠で。
落ちたと確信したあたしは、小学校の仲間達と、同じ中学校になれると、大喜びしたものだ。
まず、中学受験なんて、するもんじゃない。
とか言って笑ってた。


でも、悪魔の電話は来てしまったんだ。


｢もしもし、佐々木です。｣


｢こちら桜鈴学園中等部ですが、佐々木洋子様の繰り上げ合格の通知のため、お電話させて頂きました。｣


｢は？佐々木違いだよ。じゃあな。｣


思わず電話を切った。

が、後日かけ直された電話に母親がでて、あっという間に入学の手続きを済ませた。
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