深海の眠り姫 -no sleeping beauty-
最初から遠慮のない深い口付け。
芦谷さんの舌が私の下を絡め取って、丹念に顎をなぞっていく。
エレベーターが役員室のある階に到着する間中キスを止めなかった芦谷さんは、エレベーターを降りてからも触れるだけのキスを止めなかった。
役員室に入るとすぐ彼は私を抱き締めて、頬擦りを止めない。
「…あ、の………?」
甘くて激しいキスに頭の芯がくらくらして、ぼんやりしながら見上げるとそこには少し怒ったような表情の芦谷さんがいて。
「―――はっきり言ってやればいいんだよ。俺と付き合ってるって」
そう言うとまた私の唇を塞ぐ。
唇の輪郭を舌でなぞり、何度も何度も舐め上げた。
「環は俺のなんだから堂々と言えばいい。…もう俺、おまえ以外見えてないんだぞ?」