深海の眠り姫 -no sleeping beauty-
2. 眠れないの
目を閉じると、小さなこどもが泣いていた。
でも、誰も助けてはくれなかった。
みんなには、“おとうさん”や“おかあさん”がいるんだよね?
私にはいないの。
いるのは、“母”ではなくどこまでも“女”の人だけ。
私を見下ろす冷たい視線と、最低限よりも少ない食べ物しかくれなかった、私の“おかあさん”。
―――今もどこかで生きているのだろうか?