深海の眠り姫 -no sleeping beauty-
12. 愛されたこども
泣いていたこどもは、いつからか泣かなくなった。
最初は、諦めからだった。
どうせ誰も私を助けてはくれないと、そう思ったら涙が出ることがなくなった。
でも今は違う。
独りじゃないんだと、そう思えるようになったから。
だから、こどもは泣かなくなったんだよ。
「―――――パーティー…?」
春の大型連休を終え、確実に夏に向かいつつあったある日のこと。
はっ、と思い出したように直人さんはカレンダーを見て、ちらりと私を見ながらその単語を口にしたのだった。