深海の眠り姫 -no sleeping beauty-
「本当か!?………断られたらヘコむなぁとか思って言ったのに。いい子だな、環は」
そう言って頬にちゅ、ちゅとキスを降らせる。
「ちょ、直人さ」
「いいから。飯よりも環が足んねぇんだよ」
私の身体があっさりと反転し、直人さんと向かい合う。
コンロの火を消す音がした次の瞬間唇が重なった。
「………ん、ぁ…」
キスの合間、思わず漏れた自分の声が妙に甲高くて照れていると直人さんの唇が不意に離れた。
顎から首筋を舌でなぞり、甘噛みする。
その瞬間、背筋がふるりと震えた。