深海の眠り姫 -no sleeping beauty-
「ち、…ゃ、直人さん!?」
シンクに腰を預けて、仰け反るような体勢の私の首筋ばかりを狙って丹念に舌を這わせる直人さん。
私が名前を呼ぶとようやく視線をこちらに向け、頬を指で撫でる。
「…ん、わかったよ」
そう答えると名残惜しそうに首筋を甘噛みし、ほんの少しの痛みを残して私の身体を起こした。
「パーティーは来週の金曜だから、それまでに環のドレス買いに行こうな」
「あ、はい。…って、そっか。ドレス…」
やっぱり着飾ることに慣れない私がその単語に顔を曇らせると、直人さんは私の額にキスをする。
「本当は着飾った環なんて誰にも見せたくないんだけどな。かわいすぎてたまらねぇから」