深海の眠り姫 -no sleeping beauty-





―――そう言われちゃうと、私はなにも言い返せなくなる。


でも、直人さん。
“かわいい”なんて、あなた以外誰も私には言わないんだよ?
…だから心配なんてしなくていいのに。


着替えるために寝室に向かう彼の背中を見つめながら、私はそう思った。










「―――へ、変じゃないですか?」


パーティー当日。
私は会場となるホテルの一室でドレスに袖を通しそう訊ねた。


目の前にはタキシード姿の直人さんとユウさん。
鮮やかなグリーンのパーティードレスに身を包んだ私を見て、二人はただ固まっていた。





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