深海の眠り姫 -no sleeping beauty-
「………に、似合わない、ですよね…?」
何も言ってくれない二人に不安がピークに達した私は俯いて自分の足下に視線を落とした。
すると、その視線に慌てた様子の直人さんが飛び込んできて。
「違ぇよ!………その、想像以上に綺麗だからびっくりして」
「そうそう!こんなに変わるなんて思ってなかったから僕も驚いたよ。さ、座って?仕上げに入るからね」
直人さんに続いてユウさんがそう言うと、鏡台の前のイスを引いて座るよう促してきた。
実はヘアメイクも一通りできるらしいユウさんに今日のヘアメイクをお願いしていたのだ。
「侑、あんまり綺麗に仕上げすぎるなよ!」
「…直人。普通は逆じゃない?」
慌てる直人さんに呆れ顔でそう答えるユウさんが鏡に映っていて、その様子を見た私は思わず声を上げて笑ってしまっていた。