深海の眠り姫 -no sleeping beauty-
(………眠れない)
その日の夜、いつもの習慣ながら電気はつけっぱなしで眠ろうとベッドに寝転がってはみたけど、いっこうに眠れなかった。
…眠ろうと目を閉じると、どこからかあの金属音がするのだ。
ジャラ、ジャラと少しずつ私に近づく鎖の音。
私の心まで鷲掴みにしてどこかに連れ去られてしまうんじゃないかと私を不安にする音。
「参ったなぁ…」
私はそうつぶやき、腕で目を隠した。
涙が一筋頬を伝っていく。
泣けば疲れるのだってとっくに知っているくせに、今夜はあふれてあふれて止まらなかった。