深海の眠り姫 -no sleeping beauty-
まもなくユウさんも合流すると、今日の主役である直人さんのお父さん―――社長が会場内に入ってきた。
その隣に立つ綺麗な女の人は彼のお母さんなんだろう。口元がよく似ている。
彼らは私たちの姿を見つけると、まっすぐこちらに向かってきた。
「誕生日おめでとう、親父」
直人さんがそう言うと、社長は目を細めて笑う。
その表情が直人さんにそっくりで、そこで私は彼が父親似であることに気づいた。
「………で、直人。こちらが例のお嬢さんかな?」
しばらく二人が話す様子をぼんやり眺めていると、社長は急に私を話題に出す。