深海の眠り姫 -no sleeping beauty-
そう告げて、社長と直人さんのお母さんはほかのゲストのもとに向かっていった。
(…話?)
もったいぶったような言い回しに私は首を傾げながら、頭の中をよぎる不安を必死で振り払った。
…何か、言われるの?
そう考えだすと止まらなくなる。
確かに私が直人さんのそばにいても、特に会社のためになるようなことなんてない。それどころかマイナス面しか持ってない。
「…環?」
社長たちが歩いていった方向を漠然と眺めていた私を、気遣うように直人さんは呼ぶ。
でも私はうまく反応できなくて、代わりに背後から他の人の声がした。