深海の眠り姫 -no sleeping beauty-
13. 誓いの光、煌々と
(―――って、ちょっと…!)
引っ張られるように会場をあとにした私は内心焦っていた。
社長たちに挨拶をしていないし、なによりあの空気をそのままにしてきてよかったのか。
さっきまで抱いていた不安とは別の不安に駆られ始めた私は、私の少し前を歩く直人さんに声をかけた。
「な、直人さん!いいんですか!?」
でも、彼からは何の返事もない。
引っ張られるがままに歩いているとそこはホテルの中庭で、もうすでに太陽は地平線の向こうに隠れていたけどライトアップのおかけで足元は明るい。
そこでようやく直人さんの足も止まり、私に背を向けたまましっかりセットされていた髪をかきあげてぐちゃぐちゃに乱している。
なんだか話しかけづらい雰囲気に、私は中庭のライトアップに視線を向ける。
宝石のように輝く光の粒が、なにも話さない私たちを包んでいた。