深海の眠り姫 -no sleeping beauty-
その言葉と同時に薬指にはめられたもの。
ライトの光に負けない、きらきらしく輝くそれがダイヤモンドだってことに気づいた瞬間、一気に心音がうるさく鳴り出した。
―――いいの?
私なんかでいいの?
(何か、言わなきゃ…)
そう思っても全く声が出ない。
手も唇も小刻みに震えだして、全く機能しなくて。
ただ嬉しくて、涙が出た。
「…………ん、で…、か」
声を振り絞っても全く言葉にならない。
それでも直人さんは何も言わないで私の言葉を待っている。